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雪に咲く花

第22章 本物の悪魔

「それは、無理な話ですね。本来の復讐は、大切な恋人が苦しむのを貴方に見届けてもらうのが目的なんですから」
亘は雪斗をみると、精液まみれの無残な姿に動揺を隠せない。
この場所に来るまで、男達の餌食にされていた事を物語っており、全身が震え出す。
どんなに怖くて苦しかっただろうか?
「お願いだ。雪斗は何も関係ないんだ。痛めつけるなら俺を好きなようにしてくれ」
「大切な恋人に対しての愛情ですか?美しいですね。でも駄目です。ボロボロになっていく雪斗を見せつけることが、一番効果的な復讐でね。儚げで壊れてしまいそうな雪斗、いや、可愛さに壊してしまいたくなるんですよ。雪斗はね」
復讐することにに囚われている光多には、何をいっても無駄なのだと思い知らされた。
雪斗を傷つけ、その恋人である自分を苦しめることだけしか頭にないのだ。
いったい、何が彼をそこまで、復讐の悪魔に変えてしまったのだろうか?
母が死なせた女性が、彼の母親だというのなら分かるが、記憶のない叔母のことをここまで慕っているとは……。

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