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雪に咲く花

第22章 本物の悪魔

「撃てるもんなら撃ってみろよ!どうせ弾は入っていないんだ」
「何だよ。本当に殺されるかと思ったぜ」
「クロキンのくせになめた真似しやがって……」
一時、怯んでた男達が安堵の息をもらした。
「黒川くんだかなんだか知らないけど残念だったね。彼らに言うことを聞かせたかったらしいけど……」
黒沢はライフルを落として、うなだれた。
雪斗を守る為に、彼らを従わせようと考えた方法は、何の意味もなかったのだ。
「とにかく、続きを頼むよ。淫らな所、写してあげるからね」
「さてと、もう一度可愛いがってやるからな」
男達が、雪斗の身体に覆い被さった。
「いやあぁ!もう嫌だ!やめてえっ」
泣き叫ぶ雪斗の声を聞き、床に落としたライフルを再び手にした。
雪斗は、本当の自分をさらけ出せず、学校で孤立していた黒沢にとって心の支えだったのだ。
恋をしていると今なら確信できる。
自分のものにならなくてもいい。
しかし、雪斗の傷ついた顔は見たくない。
彼を傷つけるものは許せない。
たとえ、それが実の双子の兄だとしても……。
これが、あの光多なのか?
あの時の、純粋だった彼はもうおらず、悪魔に成り下がっているのだ。

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