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雪に咲く花

第23章 黒沢叶多の思い

2日ほど、眠り続けた後、目覚めた雪斗の瞳に、愛しい人の姿が映った。
「亘……?俺、どうしたの?」
「雪斗!……目が覚めたのか?」
亘は、雪斗の頬に手をあてる。
「ごめんよ。雪斗。俺のせいで、辛い思いをさせて……もう、決して離さないからな」
雪斗を抱き寄せようとしたところ、美紅が現れた。
「雪斗……。大丈夫?怖い思いしたんだってね」
今までに起きた忌まわしい出来事を全て思いだし、雪斗は震えながら泣き出した。
「怖かったよ……。亘、もうどこにも行かないで……」
亘に頭を撫でられながら、雪斗は、ひたすら泣き続ける。
「あらあら、小さい子供みたいね」
微笑みながらも、美紅の瞳にも涙が光っていた。

「あっ!そうだ。これ黒沢君から、雪斗に渡しておいてくれって……」
泣き止んで落ち着いた雪斗に、亘が空色の封筒を差し出した。
「黒沢が?……何だろう」
封筒を開くと、満天の星空の写真が入っていた。
更にそこには、流れ星が映っている。
「わあっ!すごい!でも、どうして、黒沢がこれを?……」
「あれっ!裏に何か書いてあるぞ」
亘に言われて、写真を裏返した。

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