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途切れ途切れに助けを求める雪斗を見て、亘は戸惑うばかりだ。
もう救急車を呼ぶしかないのだろうか？
スマートホンを手にとったとき、ふと、三面式のフォトケ―スが目に入った。
写真の真ん中は、雪斗と亘が笑っている写真、両端には、イルミネーションと綺麗な夜景の写真が映っている。
更に、そのフォトケースの裏にはゼンマイがあり、オルゴールとなっているのだ。
雪斗が病院に運ばれたとき、医者が言っていたことを思い出した。
『基本的に性暴力を受けた後、パニックに陥って呼吸困難になる場合があります。こういう時は背中を擦ってあげるのが効果的ですが、人に触られることを拒絶することもあります。そういうときは、好きな音楽を聞かせてやることで落ち着くケースもあるんです。子守唄と一緒ですから』
亘はフォトケースの後ろにあるゼンマイをまいて、雪斗の耳もとに近付けた。
「うぅぅ……くる……しい……たす……けて……」
抱きしめられた途端、何故か、激しい恐怖と苦痛を味あわされた記憶が心を占め、呼吸が思うままにならない。
息苦しさが続く雪斗の耳に、優しいメロディーが届いた。