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雪に咲く花

第24章 きずあとが癒えるまで

「そんな……あの時の傷が、せっかく治ってきたというのに……」
杉山光多に欺かれ、罠にかけられて監禁され、男達にレイプされた出来事は、治りかけていた過去の傷と一緒に抉られてしまったのだ。
しかも、佐々木達に犯された時は、亘が抱きしめ、肌に優しく触れたことで、すぐに癒すことが出来たのに、今度は、そうした行為が逆効果になる。
悔しさに涙が溢れた。
「雪斗、俺はお前の傷、絶対治してやるからな!」
雪斗の頭を優しく撫でる。
幸い、軽く撫でるくらいなら問題はないようだ。
「ごめん、亘……。有り難う」
「さて、腹が減らないか?夜景の綺麗に見えるレストランをみつけたんだ。行こうか?」
「うん、行きたい。なんだか、お腹減って来ちゃった」

遊園地の夜景が見えるレストランは、景色だけでお腹いっぱいになると言われるほどの評判だ。
「すごい綺麗だな。夢の世界にいるみたい」
「だろ?しかも、ここは値段も手頃なわりに、料理は美味しいし、財布にも、やさしいしな……」
先ほどの騒ぎが嘘だったかのように、二人は幸せなひとときを過ごした。

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