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雪に咲く花

第24章 きずあとが癒えるまで

あの忌まわしい事件から、1ヶ月がたち、12月に入り寒さが増してきている。
亘が、『星に願いを』のメロディーと、亘の声で幸せだった時を語ってきかせたものを、録音して雪斗に渡した。
「怖い夢を見たら、何回でもこれを聴くといい」
それを枕元におき、子守唄のように聴きながら眠ることによって、悪夢に魘されることが徐々に減ってきたのだ。
亘に強く抱きしめられることは、まだ雪斗の体が許さないものの、手を繋ぐこと、頭を撫でられること、肩に手を寄せられることは問題なく出来ている。

街中が、クリスマスの雰囲気に染められてきた中で、雪斗と亘は夜のデートを楽しんでいた。
「もう少しで、クリスマスなんだな」
「ああ、その日は、雪斗の18歳の誕生日だな」
「うん、プレゼントよろしく」
「何が欲しいんだい?」
「どこか、泊まりがけで旅行したいな。休みに入るし……」
「旅行か。よし、とっておきの場所探しておくよ」
「本当!さすが亘は話せるなあ」
二人は、人気の少ない公園のベンチに座り、夜空を見上げた。

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