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雪に咲く花

第24章 きずあとが癒えるまで

「君、一人なの?これから遊びにいかない?」
「すげえ、可愛いじゃん。いいところ連れてってあげるよ」
男の一人が、雪斗の腕を掴む。
「やっ!離してっ!」
腕を振りほどこうとすると、後ろから、もう一人の男に、肩から首に腕をまわされた。
(やだっ!怖いよ!亘早く帰って来て)
男達に掴まれ、恐怖が再びつのり、息苦しくなる。
「それにしても、雪のように白くて綺麗な肌してんだな」
厭らしく笑いながら、腕を掴んだ男が雪斗の頬を撫でた。
「いやあぁっ!」
思わず、男の一人を蹴飛ばし、もう一人を突き飛ばすと、走り出していた。
「いてえな!おいっ!捕まえてくれよ」
「怖い!怖いよ!助けて……」
「おいっ!待てよ!」
後ろから男が追いかけてくる。
暫く走った後、誰かにぶつかった。
「うわっ!危ないな……あれっ!?雪斗じゃないか!どうした?」
飲み物を買って戻ってきた亘がいたのだ。
「亘!……助けて!怖いよ……」
「おいっ!その子捕まえてくれ!」
後ろに続いて叫ぶ男を見て、また絡まれていたのだと察した。
「雪斗、走るぞ!」
コーヒーカップを地面に落としたのも構わず、亘に手を握られ走り出す。
暫く走った後、先ほど歩いた公園に駆け込み、木陰の裏に隠れた。

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