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雪に咲く花

第28章 新たな繋がり

「すまんすまん……。雪斗君、亘のことよろしく頼むよ。私達は、見守ってやることしかできないがね」
「この子が幸せなら私も見守っていきますよ。雪斗さん、私達とも仲良くやっていきましょうね」
養母も優しい笑顔を浮かべながら、雪斗の手を握る。
「はいっ!ふつつかものですが、これからもよろしくお願いします」
「まるで、嫁にでも来るような挨拶だな」
気合いをいれた雪斗の挨拶に、亘が笑いながら呟く。
「えっ!?……何か変だったかな」
首を傾げる雪斗に皆が笑った。

その夜は、養母が料理してくれた天ぷらや煮物などで夕食を楽しんだ。
「わぁっ!美味しい。箸が進んじゃう」
地元の新鮮な野菜を使ったご馳走は、歯触りのいい、こくのある味付けだ。
「どうぞ、たくさん作ったからどんどん召し上がってくださいね」
さっきまでの緊張感など忘れて、雪斗も亘も腹一杯、夕食を口に運んだ。
「小さな体にしては、いいっ食いっぷりだ。ますます気に入ったよ」
養父の言葉に、雪斗の箸が一瞬止まる。
「あっ、いけない。美味しくてつい……」
「ははは、遠慮することはない。美味しく食べるのを見るのは気持ちがいい。妻も喜んでいるよ」
養父母が微笑ましく、雪斗を見つめた。

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