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雪に咲く花

第28章 新たな繋がり

「でも、あの子俺と目を合わせようともしなかった気がする。嫌われてんのかな?」
「考えすぎだよ。悠希君は人見知りなだけさ。俺とだって話すようになるまで時間がかかったんだから」
「そうなんだ。まあ、いいけどさ」
まさか、その悠希の存在が、後で二人の間に距離が開くことになるとは想像出来るはずがなかった。
「ところで、亘のお義父さんもお義母さんもいい人だね。仲良くなれそうで良かった」
「ああ、こんな訳ありな俺を引きとって育ててくれた人だからな。どうなるかと心配したけど認めてもらえて良かったよ」
話は養父母の方に切り替わっていった。

電車を降りた後、雪斗と亘は予約していた温泉宿を目指した。
亘の実家に帰省した後、二人きりの時間も過ごしたいと思ったからだ。
風情のある温泉街を歩き、目的地に到着した。
「うわぁ、テレビに出てくるみたいにお洒落だな」
「そうだな。ここなら落ち着いて過ごせそうだ」
昭和初期のお屋敷のような風情を感じる宿の優雅さに、二人は目を見張る。
部屋に案内され、窓から景色をのぞくと、遠くに山々が見え下の方に川が流れている。
「凄いなぁ!こんなに綺麗な景色初めてだ」
雪斗が窓からの景色をカメラに収めた。

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