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雪に咲く花

第30章 招かれざる客

入社して数日たった土曜日に、雪斗は亘の部屋を訪れた。
「はい、どちら様ですか?」
インターフォンを押すと彼のものではない声が聞こえる。
「あれっ!?部屋間違えてないよね?」
ネームプレートには、間違いなく亘の名前が記されている。
誰か、お客様でも来ているのだろうか?
「あの、雪斗ですけど……」
暫くしてから、ドアが開き、会ったことのたある少年が顔を出した。
「あっ!この間の……」
「あぁ、あのときの人ね」
亘の実家に訪れた帰りに出会った悠希だったのだ。
「雪斗きたのか?」
その後、亘も顔を出した。

亘の部屋には、見たことのない荷物が置いてある。
おそらく、悠希のものだろう。
「君がどうしてここに?」
「実はな……」
「俺、亘さんと暮らすことになったから」
雪斗の質問に亘が説明しようとするのを遮り、悠希がきっぱりと言った。
「おい、悠希君待ってくれよ」
「亘、一体どういうこと!?」
突然の悠希の宣言に雪斗は訳が分からない。
「悠希君、俺の行った大学と同じところに通うことになったんだが、ルームシェアするはずの従兄が、突然、同棲することになったらしくて、あてにしてたアパートに住めなくなったらしいんだ」

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