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雪に咲く花

第30章 招かれざる客

「それで?」
「とにかく、こっちには他の知り合いもいないし、いい場所見つかるまでは、ここに置いてやろうと思ったんだよ」
「えっ!?それじゃ……」
「そういうことです。暫く、ここに住むのでよろしくお願いします」
呆気にとられている雪斗をよそに、悠希は笑顔で挨拶する。
悠希が滞在するということは、二人だけの時間をここで過ごせなくなるということだ。
まして、亘と繋がりあうことなど出来るはずもない。
「まあ、悠希君も上京したばかりで色々と分からないこともあるんだ。明日でも街を案内するよ」
「えっ!でも……」
明日は亘と二人きりで過ごしたかったのに……。
まさかの亘の提案にがっかりする。
「本当にいいの?俺、この街のこと色々知りたいから良かった」
雪斗の気持ちなどお構いなしに、悠希が瞳を輝かせる。
「そうだ。雪斗、今夜泊まるんだろ?どうやって寝ようかな?」
亘が部屋の中を見回しながら腕組みをした。
「いいよ。俺、帰るから」
亘のマンションは1LDKの間取りのため、三人で寝るには狭すぎる。
それに、悠希がいるのでは、亘と枕を並べて寝ることも出来ない。

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