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雪に咲く花

第30章 招かれざる客

「亘さんみたいに、教師を目指そうかな?本の面白さを生徒に教えてあげたいんだ」
「うん、それもいい考えだけど、その前に、悠希君は人見知りを克服しないとな。生徒と向き合うのは、気力も体力もいるぞ」
「そうだよね。俺も社交的な性格なら良かったんだけど……」
二人の会話は、自分とは遠く、疎外感に包まれる。
「まあ、俺も悠希君がたくさん友達が出来るように協力するからさ。では、早速、雪斗と仲良くしてみるのはどうかな」
「えっ……!」
突然の亘の提案に、二人は同時に声を出した。
「せっかく出会ったんだから、これも何かの縁だと思うんだ」
何故だろう?
どこか、悠希は自分に対して棘を含んでいるように感じるのだ。
亘は友達になることを勧めるが、心から仲良く出来ないような雰囲気がある。
暫く、間をおいた後、悠希が、雪斗の方に手を差し出した。
「そうだね。雪斗君、仲良くしよう」
「うん、よろしく」
雪斗も手を出すと、ぎゅっと痛いほど強く握りしめてくる。
やはり、彼は自分を好いていないのだろうと感じた。
「君の知らない亘さんの話、たくさん聞かせてあげるから」
嫌味っぽい口調で、悠希が得意気に言った。

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