『雪に咲く花』第30章「招かれざる客」　411ページ

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雪に咲く花

第30章招かれざる客

初めて会った時は、愛想のない態度だったのに、今はこうしてあざと可愛く愛想をふりまいてくることに、苛立ちを感じた。
「それは、どうも。俺の方も、悠希君が知らない亘との秘密があるんだ」
雪斗も負けずに言い返した。
とたんに、悠希の顔がひきつる。
「おいっ！雪斗、変なところで張り合うなよ」
悠希の顔色を見て亘が慌てる。
「悠希君は知らない土地にたった一人で来たんだからさ。お前も優しくしてやってくれよ」
「俺、何か悪いこと言ったかな？」
悠希の肩を持つ亘に、雪斗がふてくされた。

食事を終えて、雪斗は自宅に戻った。
「あらっ！珍しいわね。亘先生の家にとまるんじゃなかったの？」
泊まり掛けで出掛けると思っていた美紅が、不思議に思って尋ねる。
「亘のことなんか知らないよ！人の気も知らないでさ！」
答えながら、ドタドタと自分の部屋に入って行った。
「喧嘩でもしたの？まあ、よくあることよね」
雪斗と亘が喧嘩しているらしいことは珍しく感じたが、美紅もこういうこともあるだろうと気にもとめなかった。