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雪に咲く花

第30章 招かれざる客

部屋に戻ると苛立ちがつのり、壁に枕を投げつけた。
「あんな、可愛げのないやつと仲良くなれるかよ!亘の分からず屋っ!」
確かに地方から上京して、住むところがないのは大変なことだろう。
しかし、悠希は、明らかに雪斗に対して敵意を持っているのが伝わってくる。
おそらく、彼も亘に思いを抱いているのかも知れない。
しかし、亘の方は、そんなピリピリした空気が漂っていることが分かっていない。
今までは、簡単に亘の家を訪ねることが出来たのに、悠希が居座ることで、二人で過ごす時間が少なくなってしまうのだ。
ベッドに横になり、やや時間がたってからスマートフォンの着メロが流れた。
画面をのぞくと亘からだ。
「雪斗か?今日は、すまなかったな。悠希君が来たのも突然だったんだ」
「どうして、あの子が亘と一緒に住まなきゃいけないんだよ?別に兄弟でも親戚でもないのに」
腹ただしさが沸き上がり、強く問い詰める。
「住むところがないんじゃ、ほっとくわけにはいかないじゃないか。他にまだ知り合いもいないんだし……」
「そりゃそうだけど、あいつ図々しいよ」
「そういう言い方するなよ。ところで明日会えないかな?」
亘が改めて尋ねた。

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