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雪に咲く花

第30章 招かれざる客

「街案内なら二人でいけばいいだろ!俺が行ったって話が合うわけじゃないし……」
「違うんだ。案内が終わってから二人だけで会いたいんだよ」
「本当?」
二人だけと聞き、腹ただしい気持ちが弱まっていく。
「あぁ、昼間はともかく、夜なら悠希君一人でも大丈夫だろ?」
とにかく、二人になる時間が欲しかった。
「じゃ、終わったら一緒に食事に行こう。今後のことも考えたいしな」
「悠希君は、いないんだよね?」
「だから二人きりといったろ。じゃ、明日6時に待ち合わせよう」
電話を切った後、いくらか苛立ちはおさまっていた。
とにかく、会ったときに色々と話をしようと考えたのだ。

翌日の晩、二人はイタリアンレストランで、食事をすることにした。
「こんなことになってすまない。とにかく、住むところが決まるまでということだから、暫くは今まで通りに会うことは難しくなるな」
「本当につまんないの。悠希君はいつまでいるつもりなの?」
亘の言葉に、雪斗が膨れながら尋ねる。
「あの子が住むところが決まらない限りは、追い出すわけにもいかないからな。俺も、あの子が住む場所を、探すのに協力するつもりでいるんだ」

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