テキストサイズ

雪に咲く花

第30章 招かれざる客

「悠希君、話があるんだ。」
「何?亘さん」
亘が悠希に食卓の椅子に座るように促す。
向かい合わせに座り、少し考えてから話し始めた。
「俺たちは、確かに気の合うところがあるし仲良くすごしてきた。悠希君のことも弟のように思っている」
弟かと、心の中で悠希はがっかりする。
「どうしたの?いったい」
「暫くは、ここにいても構わない。但し、冷たいようだが、ずっとと言うわけにはいかない。君は、ちゃんと家賃の仕送りもあるんだから、自分の住むところは探して欲しいんだ」
亘の言葉に悠希が寂しそうな顔をする。
「冷たいんだね。亘さん、別にただで置いてもらおうとは思ってないよ。家賃もちゃんと払うし、掃除も洗濯も何でもするのに……。俺のこと邪魔なんだね」
「すまない。俺には大切な人がいるんだ。いずれは一緒に暮らしたいと思っている。だから君をいつまでもここに置いとけないんだ」
「雪斗君の事?」
浮かない顔をする悠希に亘が頷いた。
「雪斗君のどこがいいの。そりゃ、可愛いけど同じ男だし、ずっと年下だし、亘さんだったらもっと相応しい人いると思うのに……。それなら、俺だって……」
悠希が、涙を飲みながら問いかける。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ