テキストサイズ

雪に咲く花

第30章 招かれざる客

「雪斗といると肩の力が抜けて、自然でいられるんだ。そういう気持ちは、同性でも異性でも年齢でも関係ないんだよ」
「じゃあ、もし、雪斗君に出会わなかったら俺でも好きになってくれた?」
「えっ!……何を突然言い出すんだ?」
悠希が思わず出した言葉に、亘は呆気にとられる。
「やだな。冗談だよ。本気にしないで」
悠希が作り笑顔で亘に返す。
「そうだよな。まさか、悠希君とそんなことあるはずないもんな」
ほっとしたように笑う亘を見て、悠希は切なくなる。

悠希にとって、子供の頃に出会った亘は初恋だった。
ただの幼い頃の甘い思い出だけですめば、こんなに苦しい思いをする事はないのに……。
亘が大学に行くために地元を去った後も、彼のことを忘れられなかったのだ。
女子に告白されて付き合ったこともあったが、いつも、心の隅に亘の存在があった。
結果的に彼女からは、
「貴方って何考えているのか分からない。いつもどこか遠くを見ているみたいだし」
と言われ、簡単に破局を迎えたのだ。
もしかして、既に恋人がいるかも知れない。
亘のことを忘れようとしても出来なくて、会いたさがつのり、同じ大学を受験して上京すれば、亘の近くにいられると思い付いたのだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ