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雪に咲く花

第32章 すれ違いの始まり

医師の言う通り、亘が数時間後に目を覚ましたのだ。
幸い、打ち所は悪くなかったようで、暫く安静にしていれば普通に生活出来るだろうということだ。
しかし、後遺症が残る危険性があるため、2、3日の入院が必要だと言う。
面会も許され、雪斗達は亘のいる病室に入っていった。
亘は頭に包帯を巻いたまま、室内を見回している。
「亘、良かった!無事で……」
真っ先に、雪斗が近寄る。
「えっ!……君は、誰なんだい?」
亘が、雪斗の顔を見て、予想外の言葉を出した。
「何言ってんだよ?雪斗だよ」
「ユキトって?……」
何故か、雪斗が話しかけてもキョトンとした様子だ。
「おいおい、亘兄、悪い冗談よせよ。恋人の顔を忘れちまったのかよ?」
颯人が、横から助け船を出す。
「あれっ!颯人じゃないか。俺、どうして、こんなところにいるんだ?」
颯人に対しては、いつもの通りである。
「亘さん、大丈夫?心配したよ」
今度は、悠希が声をかけた。
「君は?えぇと……?」
「悠希だよ」
「ああ、もりかして、昔、図書館でよく会ったあの悠希君か?暫く会わない間に随分大きくなったな。でも、君がどうしてここに?」
悠希に対しては、久しぶりに会ったような対応をする。

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