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雪に咲く花

第32章 すれ違いの始まり

「どうして、俺のことだけ忘れちゃったのかな?こんなのってないよ」
帰り道、颯人と喫茶店に立ち寄り、悲しみにくれていた。
「まさか、肝心な雪斗のことを、忘れちまうとはな。亘兄も酷いよな」
「もしかして、亘の気持ちは俺から遠ざかっていたのかも知れない。だから、簡単に俺のこと忘れちゃったのかも……」
「馬鹿、そんなことねえよ」
正直、颯人も思いがけない出来事に、どう慰めていいのか戸惑っていた。
「だって、亘は悠希君のことを、あのまま家に置いておくつもりでいたし……」
亘の真意をまだ知らない雪斗は誤解したままだ。
「残念ながら、今は、悠希ってやつに協力を頼むしかないんだよな。あいつは、昔からの亘兄を知ってるわけだから……」
「俺には、入り込む隙間なんてないのかな?」
「馬鹿、そんな顔するなよ。俺も、警察学校入るまでは、亘兄の所へちょくちょく顔出して説明してやるからよ。その時、雪斗も一緒に行けばいいじゃないか」
落ち込む顔の雪斗を、颯人が励まし続けた。

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