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雪に咲く花

第38章 亘の空白

雪斗は、暫くぶりに会う親友の姿を見つけて声をかけた。
「颯人!久しぶり!」
颯人が警察学校の外出許可が出たため、会うことになったのだ。
「おおっ!雪斗、相変わらずだな」
お互いにじゃれあってから、二人はファミレスで食事をすることにした。
「やっぱり、外の空気はいいぜ。あの中は、がんじがらめだからな」
颯人が警察学校に入ってからの、想像以上の大変さを語った。
「すごく厳しいんだな。俺にはとても無理だ。よくやってるよ」
颯人が過ごす厳しい日常を聞かされ、雪斗は感心してしまう。
「正直逃げ出したくなるときもあるけどな。そんなときは、雪斗や歩や施設のチビ達のことを思い出すんだよ。こいつらを守るためにも負けてたまるかってな」
颯人が拳を握ってポーズをする。
「そうか。颯人は強いな」
「それより、亘兄は相変わらず思い出さないのか?」
亘のことに触れられ、静かに頷く。
「そうか。まだ何も思い出せないのか?でも会ってはいるんだろ?」
颯人の質問に雪斗は心が傷む。
少し間が空いてから口を開いた。
「もう、ずっと亘とは会ってないんだ」
颯人は、雪斗の言っていることがすぐには理解出来なかった。

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