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雪に咲く花

第38章 亘の空白

「会ってないって!まさかお前達、別れちまったってことか!?」
「そんなようなものかな?今の亘は、俺が好きだった亘じゃないんだ。亘の方も俺の事、もう好きじゃないし……」
雪斗の言葉に、颯人は耳を疑った。
まさか、雪斗から、そんなことを聞かされるとは……。
「どういうことなんだよ!?この前、一からスタートするって言ってたじゃないか!?いったい、何があったんだよ!?」
「俺だってそのつもりだったんだ。でも、亘があんなこと言うから……だから俺、今の亘とは会いたくないんだ」
颯人が興奮して問い詰めると、雪斗が涙を溢れさせた。
「何があったか話してくれよ」
雪斗は、亘に最後に会った時に、残酷な言葉を投げ掛けられた事を打ち明けた。
「何だそれ?亘兄はいったい何を考えているんだ!?」
雪斗の話を聞き、颯人は信じ難い気持ちだ。
あれだけ、雪斗を大切にしていた亘が、何故、突然掌を返したようにそんなことを言うのだろう?
「訳わかんねえ!いっそのことハンマーで亘兄の頭殴って記憶を戻してやろうか!」
「それで記憶が戻るならとっくにやってるよ」
泣き声で雪斗が呟く。

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