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思いを寄せていた彼が去った後、彼女は海を見ながら涙を流した。
そんな彼女のもとに同級生が現れ、「僕じゃ彼の代わりになれないかな？」と告白したのだ。
傷心の彼女は流れるままに彼を受け入れていた。
始めは好きだった彼を忘れるためだけに交際を始めた彼女だったが、いつの間にか同級生が自分らしさを理解してくれる相手だということが分かってきた。
彼の存在により、自分はいかに狭い世界で物事を見ていたことを思い知らされたのだ。
その後、二人は徐々に愛を育んでいったのである。

「この小説って意外とハッピーエンドだったんですね。知らなかったな」
全て読み終わった後に、悠希は途中までの段階で結末を決め付けていたことに気づいた。
「最後まで、読まなかったら損するだろ？」
三浦のいう通りだ。
自分はなんと狭い世界で物事を判断していたのだろう。
少し目線を変えれば、見える真実もあるのだ。
以前、亘に『君は広い世界をまだ知らないんだ』と言われたことを思い出した。
「この小説のヒロインも君も、言い方変えれば、ひとつひとつを重く見すぎて、すぐ近くにある幸せを見逃しちゃってるんだよな」
悠希の心を見透かしたように三浦が言った。