テキストサイズ

雪に咲く花

第40章 消えない繋がり

「久しぶりだね。丁度良かった。雪斗の携帯に何度かけても繋がらなくて、家にも電話したんだが誰も出なくて気になったから来てしまったんだ。雪斗はどうしているのかな?」
亘が不安を隠せず早口になる。
「亘先生、もしかしたら雪斗を思い出してくれたの!?」
「あのっ……思い出してって?……」
美紅の質問の意味が、すぐには理解出来なかった。
亘が空白だった記憶を取り戻した途端に、今度は記憶を失っていた時間が空白になってしまった。
記憶喪失の間に起こった出来事は何も覚えていないのだ。
「とにかく、どうぞ」
美紅に招き入れられ、家の中に入った。
「雪斗、今お風呂に入っているみたいね。今夜はお兄ちゃんも出張でいないし」
シャワーの音が聞こえ、入浴中だったことが分かり安堵の息をもらす。
「亘先生には新しい連絡先教えてなかったのね。雪斗ったらスマホなくしちゃって新しい番号に変わったの」
「そうだったのか?何度電話しても繋がらないから心配したよ」
電話が繋がらない原因が分かり、再び安心感を覚えた。
居間のソファーに座り、美紅の淹れてくれた紅茶を飲みながら雪斗が浴室から出てくるのを待った。
「それにしても長いわね……まさか!?……あの子また!……」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ