テキストサイズ

雪に咲く花

第40章 消えない繋がり

嫌だっ!……やめて!痛い!……誰か助けて!……。
男達にさんざん身体を弄ばれた後、雪斗は何も身につけることなく、ふらふらとさ迷っていた。
『汚れた君は好きじゃない』
どこからか亘の声が聞こえ、もう彼が自分の傷を癒してくれることなどないと絶望に包まれた。
あてもなく歩き続けた後、どこかの屋上らしき所に辿り着く。
空はどんよりと薄暗く、まるで自分の心を映しているようだ。
『ここから飛んだら、苦しいことから解放されるのかな?』
柵を乗り越え身を投げようとすると、背後から誰かに抱き止められた。
『雪斗!……』
声の主が誰なのかはすぐ分かる。
まぎれもなく、その声は……。

「雪斗!……大丈夫か!?」
暖かい布団の中で、雪斗は目を覚ました。
視界が徐々に明確になり、思いがけない人物が目の前にいる。
「雪斗、目を覚ましたのか!?良かった」
自分の知っている亘の顔だ。
「……亘!?……」
まだ、夢をみているのだろうか?
ああ、これが夢なら覚めないで欲しい。
「雪斗……ごめんな……」
「亘!?……本当に亘なんだね?……」
握りしめられた大きな手が、夢ではないことを実感した。
「亘会いたかったよ」
涙が溢れ、亘の手を強く握り返した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ