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雪に咲く花

第47章 うるう年のサプライズ

事情を知った雪斗と颯斗にも、母に会いに行くように説得された。
忘れたい思いをほじくりだそうとする雪斗達に苛立ちを隠せず、思わず当たり散らしてしまったこともある。
「あの時、雪斗達の言うことに、素直に耳を傾けていれば良かったな。今更後悔しても遅いけど……」
「本当だよ。そうすれば、あんなに寂しい別れ方しなかったのにね。あの時の亘、いつもの優しい亘じゃなくて辛かったよ」
「そうだな。あの時はつい、お前にもきついこと言ってすまなかったな。今は雪斗に感謝してるよ。雪斗がいなければ俺は一生母さんを赦せなかっただろうな」
雪斗は亘の母の生前に、彼女を見舞いに行き、事情を聞き出したのだ。
母の亘への思いを語るビデオテープを雪斗からプレゼントされ、映像の中で母を目にしたとき、不思議と幸せだった思い出が蘇った。
その時、ようやく、少しずつ憎しみが和らいでいったのだ。
母のもとに駆けつけた時、悲しいことに彼女はこの世を去ってしまったわけだが……。

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