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雪に咲く花

第47章 うるう年のサプライズ

亘も雪斗も颯人も、落とし主は子供だとばかり思っていたが、二十歳前後かと思われる童顔の中性的な容姿の青年だった。
彼は30歳前後の長身で気さくそうな男性と一緒に家族の墓参りにきており、その時にマスコットを落としたらしい。
帰り道になくしたことに気づいて交番に駆けつけたという。
亘達は彼のその容姿から、可愛いもの好きな少女趣味の青年だと一瞬思ったが、話によると亡くなった姉達の形見だそうだ。
どうやら深い事情があるようだった。
「本当に有り難うございました。あのお礼したいのでお名前と誕生日を教えて下さい」
「えっ……こんなことでお礼なんてとんでもない」
普通は電話番号か住所を訊くもんだろうと亘は心の中で思ったが、取り敢えず亘も雪斗も誕生日だけを教えた。
更に青年は、顔を覚えたいから写真を撮らせて欲しいという。
変わった人だなと思いつつも承諾した。
小柄な青年が亘と雪斗の姿をカメラにおさめた後、青年達はもう一度お礼を言うと急いで去っていったのだ。
どうやら大切な約束があったらしい。

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