
ながれぼし
第6章 きみごころ
先輩「本当に。付き合ってるなら見せられるよね?証拠。」
さっきの驚きの顔は何処へ
今は、どうだ。とばかりに口角を上げる
…てか
「証拠?」ってなに?
先輩「そ。証拠。できるでしょ恋人同士なら。
それとも、そんな事もしたことがない薄っぺらな関係なの?」
っ…
俺の戸惑いが出てしまったのか、先輩は今や核心的にものを言う
…
……そんなこと言ったってなんだよ証拠って
こうやって抱き締めてるのが証拠なんだけどっ!
大「タケちゃん。」
「?」
腕の隙間から、俺を見上げるように顔を上げた大野っち
大「俺はいいよ?見せても。
まぁ…先輩の前だと少し恥ずかしいけど…」
そんなことを言って、困ったように…てかちょっと恥ずかしそうに笑う
そして……
そのまま、水分量の多い瞳を閉じた
…
……
………なにその顔?
……ぇ?
え?!!証拠ってチュウ?!チュウってこと?!
目の前にある、男ならだれもが憧れるキス待ち顔…いや相手も男だけど
てか
ホント綺麗な顔してんな…ちょっと頬っぺた赤くなってて…かーわいー…
…
って!ちっがーう!!
そ、そりゃつい先日大野っちに唇奪われたばかりだけど、あれは大野っち酔って記憶無いし、俺だって飲んでたし、だからあれは事故で、だからあれが俺の初チュウとは認めてなくて
でも…今
ここでお互い素面で、しかも俺からチュウしちゃったら…完全なる初チュウだ
大野っちのことは…そりゃすきだよ。寧ろ大すきで…でもそれは友達としてで、キスできるかって言われたら…できなくはないけど…
俺、初キスは心からすきな人って…
…
あぁ!でもこんな状況にしたのは俺自身だ
大野っちだって本当は嫌だろうに、俺の無茶な設定に付き合ってくれてて
先輩「やっぱりね。」
「、」
先輩「証拠見せられないってことは、付き合ってるのは嘘。宮崎くん。きみ邪魔だから出てってよ。」
…っ
ここで
ここでやらなきゃ男がすたる
「お…智っち。」
大「ん…?」
ゆっくりと瞼が開いて
綺麗な瞳が俺を見る
…
ごめん…
ごめん 大切なものを…
大「…ふふ」
謝らないでよ。と俺にだけ聞こえる声で囁いて
微笑んで
あぁ…この人、本当に綺麗な人なんだな
そんなことを改めて思って
俺は、大野っちへと手を伸ばした
