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ながれぼし

第9章 flying げっちゅー




ピンポーン♪


そーなの?
だってこんな夜中だよ?
夜中に働かせるなんて、お届け屋さんがちょー可愛そうじゃん。


ピンポーン♪

櫻「智くん!マジで急いで出て!マジで寒っ…じゃなくて帰っちゃうから!」


「あ…あぁうん…」

ピンポーン♪

いや、インターホン鳴らしすぎじゃない?

ピンポーン♪

「はいっ!はい!今でます!
ごめん翔くん、ちょっと待ってて。」

櫻「はーい。待ってまーす♪」

ピンポーン♪

俺はインターホンの音に急かされるようにバタバタと玄関へと向かい、つっかえつつサンダルを足に引っかけて


ガチャっと締めてた鍵を開けて
カチャっとドアノブを捻って

扉を開けた。


「待たせてごめんなさ…」

櫻「呼ばれて飛び出て♪ジャジャジャジャーン♪♪」

「!!」

櫻「お届けにあがりましたー!
バースデープレゼントは、俺でーす♪♪」



……は?

扉を開けた先に居たのは
お届け屋さん。ではなくて、いやお届け屋さんという肩書きを実は持っているかもしんないけど

正真正銘の、翔くんで

俺の…会いたくて会いたくて
会いたかった翔くんで……


櫻「イエーイ♪♪」


イエーイと、左目の横にVサインを作って
これでもかとニカッと笑顔を輝かせる。


「…」

櫻「イエーイ♪」

「……」

櫻「イエ………」

「………」

櫻「…………もしかして…俺、めっちゃ滑った?」



「だだ滑り。ツルッツルだよ。」

櫻「あ…マジで……えと…」

「夜中だよ。こんな大声だして、何考えてんだよ。」

櫻「…そ…だね…ごめん。」

近所迷惑も甚だしい。

櫻「纏まった休みがやっととれてさ…その…だから…」

さっきまでの、ハイテンションは影を潜め
みるみるみるみる下がっていく、撫で肩の肩と眉毛。

櫻「俺…どうしても貴方に会いたくて…」

「……」

「智くんが、生まれた日だから…」

みるみると潤んでいく瞳。



櫻「…っ、さ としくん…」

なんでかな。翔くん顔がみるみるとボヤけて見えなくなる。



俺だって

俺だって

会いたかった。
会いたかったんだよっ!

そんなことすら伝えることができない俺。


だから
言葉に出来ない分


「ばーかっ!」

俺は、翔くんの胸の中へと
想いっきり飛び込んでやった。






*おわり*

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