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ながれぼし

第8章 in the water



大野くんだ。

大「いらっしゃいませー。」

え…大野くん?

大「あ、ありがとうございましたー。」

大野くん…だよな?


俺の少し先には、その真っ黒なふわふわした髪の毛を風に靡かせながら、コンビニに出入りする人に声をかける人。

その人は、ライトブルーとホワイトのストライプ柄の、このコンビニのトレードマークでもあるユニフォームを着ている。
そして外にあるゴミ箱のゴミを集めている。


え?…バイト?
バイトしてんの?


…いや、別にバイトするのは禁止されてはいないし驚く事ではないんだけど…

雅紀が言ってた大野くんの予定ってバイト?
この試験期間中にバイト?

いや…別にいいんだけどさ。
でも大野くんて…

大「あ!松本くん!」

そんな事を立ち尽くして考えていたら、目が合った。

「あ、大野くん。」

さも、今気がつきました感。

大「何してるの?」
ほんわか。とした笑顔。


ドキン。


いや、こっちが聞きたい。

つーか、煩いな俺の心臓。


「あーえと、…マックで、ニノと雅紀と勉強してて、その帰り。」

大「あ。そっか!今、試験期間中だもんね。」
そうだそうだ。とのほほんと話す。

他人事か?

「…因みに大野くんも試験だよ?」

転校生だから無し。なんてなかったはず。
不安になって思わず伝えれば

大「ふふ。そうだね。勉強しなきゃ。」

何とも焦りのない返事。
と言うか…


「大野くんー。上がりの時間だからゴミ出し終わったら上がっていいよ。長丁場お疲れ。」
と、自動ドアのオープンと共にひょっこりお兄さんが顔を出す。

大「あ、はい。先に上がらせてもらいます。」


なんだ?なんかさっきの大野くんの言い方…それって…まるで……


大「そうだ!松本くん。このあと用事ある?」

「へ?え?…いや、帰るだけだけど…」

用事というか勉強がな。

大「良かった!ちょっと中入って待ってて、5分。5分で終わらすから。」

「え?」

ぽかん。とする俺の背中を、はいはい。とポンポン押す。されるがままに流されてコンビニの中に足を進めてしまう俺。

背中の…Tシャツ越しに当たっている大野くんの手が…熱く感じる。

あ、背中、汗かいてるかも…なんて、そんな事を気にしてしまった。


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