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ながれぼし

第8章 in the water





耳に聞こえるのは、ザワザワと騒がしい人の声。そして軽快な、何度も繰り返されるBGM。

と、

相「あーー!!もうわっかんない!松潤教えてー!!」

定期的に繰り返される雅紀の悲痛の叫び。

「どこ?」

相「ここ。なんか括弧が3つあるけど、俺には2つしか思い浮かばない。」

「…あぁ、それは…っと、ここ。このページ。この例文読めばわかると思うよ。」

答えを教えるだけじゃその場しのぎ、身に付かない。

相「はい!ティーチャー!」

素直でよろしい。


あれから、試験期間に入った。
試験明けに待っている予選。それに望むためにも、絶対に赤点は避けたい。

たぶん…俺とニノは大丈夫。大きなミスさえしなければ赤点はない。

問題は、雅紀。
ヤル気になれば、決してできない奴じゃない。この高校だって合格したんだ。
ただ…ヤル気スイッチがなかなか入らない。

んで、

何度も言うが、定番のマック。
日曜日の今日はそこで勉強会。ニノもいるよ。ゲームさながらの集中力で黙々とテキストをこなしてる。

本当は、図書館とか静かな場所の方がいいんだろうけど…

相「松潤ー!わからない!」
おっきな声出しちゃうからさ。マックが丁度いい。

「ちゃんと全部読んだ?」





相「はぁぁぁぁ。ちょー勉強したぁ…。」

ニ「雅紀にしては頑張ったじゃん。」

今は、休憩中。

「だな。雅紀はやればできるんだから、普段からやっときゃいいのに。」

相「家だと睡眠の魔王様が迎えにくるんだもん。」

睡魔ね。

ニ「大野くんも来れば良かったのになぁ。」

そう残念そうな声を出したニノ。
もうすっかり仲良しだ。というかニノがなついた。

相「なんか予定があるんだって。」

「…ふぅん。」




相「じゃーねー!また明日学校でー!」

ニ「バイバイ。」

「うん。バイバイ。」

あれから、また勉強して今は夕方。
俺は2人とは違う方向。

1人きりの帰り道。

今日は大野くんが居なくて良かったのか、良くなかったのか…
結局、大野くんには訊けてない。

というか…最近の俺はおかしい。

大野くんの事を考えドキドキと速くなった胸に手を当てる。
苦しさは…なくはないけど、嫌な感じがない動悸。

と、

その心臓がドクン!と跳ね上がる。


……あ…


少し先に、大野くんを見つけたからだ。

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