
ながれぼし
第8章 in the water
*
耳に聞こえるのは、ザワザワと騒がしい人の声。そして軽快な、何度も繰り返されるBGM。
と、
相「あーー!!もうわっかんない!松潤教えてー!!」
定期的に繰り返される雅紀の悲痛の叫び。
「どこ?」
相「ここ。なんか括弧が3つあるけど、俺には2つしか思い浮かばない。」
「…あぁ、それは…っと、ここ。このページ。この例文読めばわかると思うよ。」
答えを教えるだけじゃその場しのぎ、身に付かない。
相「はい!ティーチャー!」
素直でよろしい。
あれから、試験期間に入った。
試験明けに待っている予選。それに望むためにも、絶対に赤点は避けたい。
たぶん…俺とニノは大丈夫。大きなミスさえしなければ赤点はない。
問題は、雅紀。
ヤル気になれば、決してできない奴じゃない。この高校だって合格したんだ。
ただ…ヤル気スイッチがなかなか入らない。
んで、
何度も言うが、定番のマック。
日曜日の今日はそこで勉強会。ニノもいるよ。ゲームさながらの集中力で黙々とテキストをこなしてる。
本当は、図書館とか静かな場所の方がいいんだろうけど…
相「松潤ー!わからない!」
おっきな声出しちゃうからさ。マックが丁度いい。
「ちゃんと全部読んだ?」
.
相「はぁぁぁぁ。ちょー勉強したぁ…。」
ニ「雅紀にしては頑張ったじゃん。」
今は、休憩中。
「だな。雅紀はやればできるんだから、普段からやっときゃいいのに。」
相「家だと睡眠の魔王様が迎えにくるんだもん。」
睡魔ね。
ニ「大野くんも来れば良かったのになぁ。」
そう残念そうな声を出したニノ。
もうすっかり仲良しだ。というかニノがなついた。
相「なんか予定があるんだって。」
「…ふぅん。」
.
相「じゃーねー!また明日学校でー!」
ニ「バイバイ。」
「うん。バイバイ。」
あれから、また勉強して今は夕方。
俺は2人とは違う方向。
1人きりの帰り道。
今日は大野くんが居なくて良かったのか、良くなかったのか…
結局、大野くんには訊けてない。
というか…最近の俺はおかしい。
大野くんの事を考えドキドキと速くなった胸に手を当てる。
苦しさは…なくはないけど、嫌な感じがない動悸。
と、
その心臓がドクン!と跳ね上がる。
……あ…
少し先に、大野くんを見つけたからだ。
