
ながれぼし
第8章 in the water
夏場の暑い陽が陰る時間
この時間になると、部活終わりで帰宅する学生もほとんどいなくなる。
だからって誰も居ないって訳じゃないから
俺がこうして、頭を下げてる姿は
きっと誰かしらに見られているかもしれない。
明日、「お前いったい何やったんだ。」って先生から呼び出しくらったりして。
…でも、
んなのどーでもいい。
と、いうか。
あの時の俺はそんなことすら頭の片隅にも無くて
ただ必死だったんだ。
「お願いします!」
視界に見えるのは、パーフパンツのジャージの裾を握り締めた俺の両手。
ミーンミン
ミーンミン
耳に聞こえるのは、遠くで鳴く蝉の声。
それと…
松岡「潤。」
「…はい。」
凛とした松岡さんの声だ。
松岡「ひとつ聞くが。」
ぁ…
続けて発せられたバリトン声は、さっきよりもいやに低く、
…
怒っている?
と感じさせるやつ。
松岡「…の、前に頭上げろ。」
「、ぁ……はい。」
俺は、何か松岡さんを怒らせるような事を言ってしまったのだろうか……
『潤はストレート過ぎなの!』
ふと。思い出したニノから言われたこと。
もう少し言い方を変えるべきだったのかな……でも、これが俺の想いだ。
なんて事を考えながら、ゆっくりと頭を上げた。
その先には…
当たり前だけど、松岡さんと大野くんの2人がいて
そして、松岡さんの顔は怒…
松岡「っ……ふはっ!!なんつー顔してんだよ!」
ってると思ったら
「え……?」
つい数秒前の、あの声はなに?
と思わせる程、整った顔を崩して笑いだした。
