
ながれぼし
第8章 in the water
松岡「くく…潤は、変わってねぇなぁ。」
???
俺はさっぱり意味がわからなくて
笑っている松岡さんを見上げていた。
大「…あの…松本くん?」
と、その隣から聞こえた大野くんの声。
「え?…あ、なに?」
大「あのさ…さっきのって……」
「さっき?」
なんだかモゴモゴと、話だした大野くん。
その顔は、良く見たら真っ赤になってて
…
松岡さんに口抑えられたのが余程苦しかったんだろうな。松岡さんって…なんつーか加減苦手っぽいもんね。
でもなんで松岡さんは大野くんの口を抑えたんだろう?
大「…さっき言ってたのってどういう意味?」
なんなら、瞳の中はいつもより潤んでて
死んじゃう寸前だったんじゃ…
あ、じゃなくて
「意味?意味ってそのままだよ。」
俺は、それと同時に大野くんの右手をとった。
大「ぁ、…」
「大野くんは、自分の意思で水泳を辞めたって言ったけど、俺にはあの時の大野くんの顔が……本当は水泳を、続けていたかったように見えたんだ。」
そして、俺はその手を両手で包んだ。
大「…ま、松本くんっ」
見詰める瞳が見開き、その水分がゆらゆらと揺れる。
俺の胸で、何かがトクンと跳ねる。
……なんだろう?この胸の鼓動は。
ううん。今はいいや。
雅紀の言葉を借りる訳じゃないけど
「大野くん。
俺、大野くんに会えたのは運命だと思うんだ。」
大「っ…ぁ…」
「俺、大野くんの力になりたい。
俺にとって大野くんは、特別な人なんだ。」
その手に、ぎゅう。と力と想いを込めて伝えた。
