
ながれぼし
第1章 きみのそばで
つーかさっき、俺のこと不細工っつったか?
状況が掴めず流してしまったが、納得いかないな。と睨む。
大「あー楽しみー。ねぇ翔くんは何頼むの?」
そんな俺の様子は気にも止めず、先に配られたメニュー表を、そのキラキラとした瞳で食い入るように見ている。
…
智くんと出会って10年か…
俺に見せる、その笑顔はあの頃のまま。
大「俺はやっぱり定番かなぁ♪で、翔くんはチョコでしょー♪で、あとはイチゴかなー♪」
なんとも音符だらけで楽しそうな声色。
それよか、俺に決定権はないのか?
つーか3つも頼むのか?このバカでかいパンケーキを?
…ジム…行こうかな。
なぁ昔の俺。
10年たった今も、変わらずに智くんに振り回されてるよ。
そして変わらず、一緒にいる。
でも、変わったこともあるな。
「智くん。はい。」
差し出したのは、真っ白な封筒。
大「え?…なに?…あ!これって…」
「そ、式の招待状。」
大「っうわぁ!招待状!俺、行っていいの?」
「当たり前でしょ。タケもアメリカから帰ってきてくれるってさ。」
大「ほんとに?!うわぁうわぁ…楽しみ!絶対行くよ!死んでも行く!」
「や、死んでまで来ないで。呪われそう。」
そんな俺の照れ隠しなんて気にせず、スイーツ以上にキラキラと瞳を輝かせて封筒を見詰める智くん。
心の底から喜んでくれているのが伝わってくる。
思わず顔が緩む。
智くんとさ、出会ってから色々あったよね。
まさか…貴方をすきになるなんてな。
俺の気持ちを受け止めて、答えをくれた智くん。
だから、こうやって今も一緒にいれる。
だから…気持ちも前に進めた。
俺だよ。俺の方こそ智くんに会えて良かった。
智くん。幸せになってよ?
て、愚問かな。
大「ねぇ翔くん。」
「なに?」
大「幸せになってね。」
そこには満面の笑顔。
ったく…ほんと敵わない。
「お互いにね。」
そう言えば、嬉しそうに笑う。
その笑顔を、これからも見守らせてよ。
隣にはいけないけどさ
きみのそばにはいさせてよ
だってさ
貴方は俺にとって
大切なひとだから
ね?
*おわり*
