
ながれぼし
第1章 きみのそばで
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大「うわ…流石に夜はちょっと冷えるね。」
「だなー。だから見送りなんて良かったのに。」
結局、急に泊まるのはやっぱ失礼だな。って思い、帰ることにしたのはさっき。
大「だって翔くん、方向音痴っぽいじゃん。」
失礼な。
でも当たらずとも遠からずなので、黙る。
大「ねぇ翔くん。」
「んー?」
と隣を見れば、まっすぐな瞳。
街灯の光で、その瞳はキラキラと揺れる。
大「その子のこと、すきになれるといいね。」
大真面目なトーン。
…また急に。
その子。つーのは婚約する奴でしょ。
「…どーだかな。まだ高校生だしな。どんな子かも良くわからねーし。」
現実として受け止めてはいるが、実感はない。のが本音。
大「そっか…。」
「…だから
1度ちゃんと会って話してみようとは思ってる。」
その子も苦しんでる。んじゃないかなって。
もしかしたらさ、すきな奴がいるかもしれない。
大「ねぇ翔くん。」
「今度はなんだ?」
今日の智くんはいつも以上に喋る。
「今度、一緒にスイーツ食べに行こうよ。」
そう言って、優しく笑う。
…
…智くんの思考はやっぱり謎だ。
訳わかんねー。
*
『翔くん?』
でも嫌じゃない。
**
『ねぇ、しょーくん?』
俺って…智くんに甘いよな。
***
『おーい!』
うるせーな。
****
大「しょーくんってば!」
「っうお!」
目の前にあるのは、さっきより大人びた顔の智くん。
大「何ぼーっとして。変なの。
ちょー不細工な顔してたよ?」
「え?…あれ?」
…あ
そうだ
俺、智くんとスイーツ食べに来てたんだ。
「約束したじゃん。」って誘われたのは昨日。
まぁ約束はしたよ。スイーツは一緒に食べに行くって。
でも並ぶ約束はしていない。
そう、俺と智くん以外女子という長蛇の列。に並ばされたのは……もう1時弱前。
んで、あまりの長い待ち時間。
暇すぎて昔…10年前にトリップしてたわ。
