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ながれぼし

第9章 flying げっちゅー




櫻『あっあのさ!
おお俺、さ、智くんのことが……ぁーえと
ずっと、ずっとさ…
すすす…好きで…好きだ!
だっ!だから、智くんも俺のこと好きになってもらえませんかっ!』


好きだって言ってくれたのは翔くんじゃん。


「…ばーか」


びっくりしたよ。そりゃ驚いたよ?
だって、ずっとずっと仲良しな友達だったから。
俺男だし、そういう対象で翔くんを見たことなかったし。


櫻『少しずつでいい。少しずつでいいから
俺のこと恋人として見れるか考えてみて。』

自信なさげに、元々下がってる肩といつもはキリッとしてる眉毛を下げて
そんなこと言ってさ

そうかと思ったら
その日を境に、俺が照れちゃうくらい、ますます優しくしてくれて、それまで以上に一緒に居る時間が増えて


「ばーーか」


気が付いたら俺も好きになってた


櫻『え……………これ…夢?』


俺からの告白に、そんなトンチンカンなこと言っちゃって、だから『俺も好きになった』ってもう一回伝えたら


櫻『っ…ありがとう…。大切にするっ、俺…一生!絶対に!誓って!智くんのこと大切にするから!』


もう十分過ぎるくらい大切にしてもらってたけど。
溢れ落ちそうな笑顔でそんな事言われちゃったら
なんかね……すげー感動したんだ。


「…」


なのに


「っ…」


なのにさ


「なんだよ、海外転勤て。」


大ばか翔くん。

こんなに好きにさせといて
こんなにも、もう翔くん無しじゃダメな体にさせといて、俺の知らない所に行っちゃうんだもん。


「ばーーーーか。」




……

「はぁ…」

俺、今日は変だ。
翔くんが日本を旅立って、もうだいぶ経つのに

なんでだろ。こんなにも寂しい。


「あれかなぁ…」

先日、仲の良い親友が結婚した。
おめでたい事だし、素直にちょー嬉しくて

でも…ちょっとだけ羨ましくて。


俺が女の子で、翔くんと結婚できるって可能性があって、もしくは結婚してさえいれば
この不安や寂しさは埋まるのかな。



う〜ん。
なんか違う気がする。

…やめ。
やめやめ、やめよ。

俺の頭じゃいっくら考えたって答えなんてでないもん。

「うん。もう寝よ。」

そうと決まればと、さっさと寝室へ向かう俺の足。


と、


ピリリリ…ピリリリ…


微かに聴こえた着信音に、足を止めた。


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