ながれぼし
第9章 flying げっちゅー
…え?こんな時間に?
えー…もう夜中じゃん。
誰だよ。
ってあいつしかいない。
俺は裏返したままだったスマホを掴んで
息を吸ってから画面をスライドした。
「っおい!今何時だと思ってんだよ潤!いっつもいっつも夜中にかけてきやがって!」
櫻「もし…え?…ぶはっ!もっしもーし?潤じゃなくてごめんねー?翔でーす♪」
…
……え
櫻「元気ー?変わりナッシング?」
「…」
櫻「あれ?もっしもーし?おーい?」
「…しょ…くん…?」
櫻「ふふ。俺翔くん。ごめんねぇ夜中に起こしちゃった?」
「あ…いや…今から…寝ようかなって…」
まさかの相手にびっくりしたのと、飲み会大好き夜型人間の潤だと思って悪態をついちゃったのが、恥ずかしくて
櫻「あは、そかそか。んじゃ間に合って良かった。」
久しぶりに聞く翔くんの声。
「て…え?間に合った?」
櫻「うん。セーフ。」
「? 何に?」
櫻「やっぱ忘れてるー。ま、智くんらしいけど。えーっと…あと12、11秒ちょい待ち。」
「は?何言ってんのさ?」
櫻「待って……3,2…(すぅ…)
はい!Happy!Happy!Birthday!智くん!!」
「!!」
電話越しに聞こえてきた翔くんのでっかな
それでいて、なんだかパンパカパーン♪と楽しそうな声。
「…」
櫻「忘れてただろ?自分の誕生日♪」
時計を見れば、ちょうど午前様
「…うん。」忘れてた。
忘れてたよ。
だって、翔くんが居ない誕生日は初めてで
最早そんなの興味なんてない。
櫻「驚いた?驚かせちゃったー?」
「……」
櫻「あれ?智くん?」
なんで…なんで…
「……く…っ」
ここにいないんだよ…
櫻「…」
「…ひくっ」
櫻「……ねぇ智くん。プレゼントがあるんだ。」
「………」
櫻「もうそろそろ届くと思うんだけど…」
…
……
「え?届く?って?」
ピンポーン♪
「…は?」
櫻「あ!届いた!」
え?いや、
「は?」
ピンポーン♪
櫻「ほら!早く出ないとお届け屋さん帰っちゃうから!」
「え?え?え?どゆこと?
こんな夜中に、ちょー怖いんだけど。」
櫻「いやいやいや!怖くねーから!
智くん。今時、時間指定のお届け物なんて当たり前の世界よ?」
翔くんは、そんな事を得意気に言って笑った。