
ながれぼし
第3章 冬以上春未満
いやいや俺…
こんなところで、智への想いを再確認している場合じゃない。
でも…瀕死状態だった俺のHPはミルミル回復。その効果は高レベルな回復呪文並み。
どんだけ好きなんだよ。
もはや自分でも引く。
……はぁ
変わらずに、ざわざわと騒がしい店内。
智と翔ちゃん。……に俺。
地獄絵図も変わらず。
2人の会話。
耳を塞ぐわけにもいかなくて、俺はテーブルにある、もう殆ど残っていないコーラに意識を集中する。ことにした。
.
コーラってさ、旨いけどそもそも何でできてんのかな。
そもそも良くこんな黒い飲み物作ったよね。
もっとこう、美味しそうな色にすれば良かったのにね。
大「行くよ。」
あ、それを言ったらコーヒーもか。あれも良く考えたら不思議な飲み物だよね。あんな黒くて苦いの誰が初めに飲んだんだろうね。
大「? おい。」
いや、そうなるともはや全ての食べ物の話になるんじゃない?例えば、きのこにしても貝にしても、良く食べてみようと思ったよね。
俺なら無理。
大「え?無視?」
『無理』…か。智に想いを伝えた度にだから、もう何百回言われたかわからない。
智は…翔ちゃんといるのが幸せなんだよね。
翔ちゃんは…良い奴だと思う。
さっきの女の人は…智のこと知ってるっぽかったし、きっと俺の知らない事情があるんだ。
そうだよ俺がどうこう言える立場じゃないんだ。
大「…。」
俺じゃなかった…運命の相手。
まだ…心の底から幸せになんて、願ってあげられないかもしれないけど
…俺…
大「和也。」
………ん?
あれ?
「え?」
今、呼ばれた?
そんなような気がして顔を上げると、ニヤけた変な顔をした翔ちゃんと目が合う。
「翔ちゃん?呼んだ?」
大「俺だよ。」
はぁ…と溜め息が聞こえた方を見れば、通路に立ってる智。
あれ?まだ立ってたの?
と、思うと同時に、ふわっと立ち上がる俺。
「へ?」
変な声が出ちゃったのは仕方がないと思う。
だって、智が俺の腕を掴んで…そして
大「行くよ。」
と、腕を引く。
最近やたらと腕を引かれるな。とか
行くって、どこに?とか
ぐるぐる。と考えているうちに
俺と智は、翔ちゃんを残して某有名ファミレスをあとにした。
