
ながれぼし
第3章 冬以上春未満
*
櫻「俺はスペシャルオムライス。かずなりは?」
「あ、水で…。」
今俺達が居るのは、某有名ファミレス。
櫻「なんで?食わねーの?
今日は奢ってやるよ?」
……なぜ?
…
じゃ、この際
「スペシャルハンバーグとコーラで。」
櫻「くはっ!面白いな。かずなり。」
…。
あのあと、腕を引かれ拉致…連れてこられた俺。
さっきの『翔ちゃん』の通話相手はきっと智。そしてこれから此処に来るのも、きっと…いや絶対 智だ。
なんで、すき好んでこの面子で会わなきゃなんないのか。
行くぞ。と腕を引かれた時、俺は確かに「嫌だ」「帰る」と訴えた。でもその言葉は『翔ちゃん』の無駄にかっこいいスマイルでかき消された。
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で、時間は戻って
ざわざわと騒がしい店内。
今の時間は家族連れの客は落ち着き、若者で溢れている。
目の前には、オムライスをリスの様にほうばって食べる『翔ちゃん』
そして…
櫻「へぇ、和也はあそこでバイトしてんだ。なんか以外だな。」
「そう?時間の融通利くし、何より時給いいよ。」
櫻「はは!なんか、選ぶ基準が和也っぽいな。」
何がじゃい。
「翔ちゃんは?バイトしてないの?」
櫻「ん?俺?俺はカテキョ。」
「あーぽいぽい。」
櫻「だろ?良く言われるぅ(笑)」
だいぶ
てか、かなり打ち解けてしまった。
なんて言うかこの人、コミュニケーション能力に長けてるって言うか、相葉くんとはまた違う親しみ易さを持っている。
「ねぇ…さっきの人って…」
櫻「あ、来た。」
そう言って目印に手を上げた翔ちゃん。
大「いたいた。」
と、背後から聞こえたのんびりした声。
…やっぱりね。
そうだとは思ってたけど、翔ちゃんに呼ばれて現れた智。
自然と下向いちゃうよね…
櫻「いたいた。じゃないよ。もう食べ終わっちゃったし。」
大「だって急に呼び出すから。寝る寸前だったよ俺。」
櫻「いやいや早くね?」
あはは。うふふ。と俺の頭上で繰り広げられる仲良さそうな会話。
せめて俺の前ではイチャつくなコラ。
…て、ふつーの会話だけどさ。
…
でもって俺は
こんな地獄絵図なシチュエーションなのに
智の声だけで(まだ顔見てない)
高鳴ってしまう胸
やっぱり、俺は智のことが
すごく好きだと思った。
