
kiss & cry
第15章 xA not REC-xmas EVE
佐「ぷはーーーー、お疲れ様!!
片付けはあとにして、飲も!食べよ!」
N「片付けまでさせる気かよ!」
ようやく団体客も帰った23:30。
結局ホールの仕事を任され、
テーブルの間を走り回った2時間半が終わった。
俺のツッコミには耳も貸さず
まぁまぁ、と目の前に置かれたグラスビール。
取り敢えず乾杯しよ?と笑顔でいい放つこの人は
間違いなくサンタなんかじゃなく悪魔だ。
佐「はい、カンパーイ♡」
車だから、と自分は
コーラの入ったジョッキを掲げた佐々倉さん。
カチリとそのジョッキにグラスを重ねて
気泡の弾ける黄金のビールを一気に流し込めば、
待ちわびた苦味と刺激が喉を潤した。
佐「あー、二宮くんのみてたら
俺も飲みたくなってきちゃった。
マサキに迎えにきてもらって俺も飲もうかなー?」
N「んぐ、っ!」
『マサキ』という名前に
アクセントを置いて聞こえたのは
もはや俺の心の持ちようじゃないと思う。
噎せた俺をケラケラと笑う佐々倉さんが、
素直だなぁ、可愛いなぁと揶揄ってくる。
やっぱりこの人悪魔だ。
佐「まぁでもマサキは今日仕事だったかなぁ?
それなら我慢するしかないか」
佐々倉さんが独り言のように言い放ったなかに
仕事ってワードがあってチクリと胸にひっかかる。
・・・仕事とはいえ、イブに、
相葉くんが誰かを抱いているなんて。
ゴーーーーーーーン、とタライでも
落とされたかのような衝撃に耐え
ちびりとビールに口をつければ、
いたずらっ子みたいにニヤニヤした佐々倉さんの顔が
すぐそこにあった。
N「ぅあ、!」
佐「もしかして二宮くんさぁ・・・
今日、マサキが来るかもって思ってた?」
N「いや、そんな・・・!」
1パーセントもない、と言ったら嘘。
・・・・いや、それも嘘。ほんとは半々くらいで
いたらいいなと思っていた。
急に黙った俺に、話聞くよ?って優しく
言ってくれた佐々倉さんは
さっきとは打って変わって優しい眼差しで
俺に向き直ってて。
N「佐々倉さん・・・
俺、どうしたらいいんでしょう・・・。」
思わず本音が零れた。
