
kiss & cry
第15章 xA not REC-xmas EVE
A side
ヒックヒックと泣き出した彼を、
溜兄がよしよしと宥めてる光景。
いや、それより何より、
聞こえてきた内容があまりにも衝撃的で、
都合が良すぎて、
・・・・・・聞き間違え?夢?なにこれ?
溜兄に抱かれた彼は未だ顔さえ見えないけれど、
この声が誰のものなのか、
俺が間違うはずがないんだ。
A「・・・二宮くん。」
こっちを向いて欲しくて呼びかけた声は、
彼にも聞こえたようで、
ビクッと肩が揺れる。
でも彼はこちらを振り向くどころか、
溜兄の体にさらに強く抱きついて
こちらを見ようとしない。
溜兄が引き剥がそうとするけど
二宮くんは断固としてこちらを見ようしないから、
近づいてその体を後ろから抱きしめた。
A「二宮くん!」
パッとタイミングよく解けた溜兄の腕。
佐「片付け、明日でいーや♡
後はお好きにどうぞ♡」
裏から出るから戸締りよろしく!と
ヒラヒラと手を振り、颯爽と
スタッフルームに消えていった従兄弟に、
心の中で、グッジョブ!と賛辞をおくった。
腕の中の二宮くんは微動だにせず項垂れてるけど、
耳が真っ赤になっちゃって、
こりゃ俺も男みせる番か、と
深く深呼吸した。
