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and you

第1章 手を繋いで A×N




A side



「今日も一緒に帰ってもいい?」
「ダメっていったら?」
「じゃあ勝手についていく。」
「それじゃあ聞く意味がないでしょうよ。」


言葉はツンとしてるけど、
でも顔は笑ってる。

しょうがないなって、そんな体のほうが
ニノだって素直になりやすいでしょ?


「勝手についてこられたら迷惑だから、
 一緒に帰ってあげてもいいですよ。」
「ほんとに?やったぁー!
 ニノ大好き!」
「はいはい。」


適当に受け流すように答えてるけど、
耳は正直で赤くなってる。

そこもまた可愛いなぁ。


愛しくなって、手をぎゅっと握ると

「わっ、やめろよ!」
「いいじゃん!仲良しなんだから!」


ブンブンと手を振りながら繋ぐ俺たちに
ロマンティックの欠片もないけど、
でもここは局の廊下。

幼稚園児みたいなことをしてる俺たちを
クスクスと笑いながら、
スタッフさんたちが通っていく。


「本当に仲良しなんですね。」
って、笑いを隠せないスタッフさんに、

「はい!だって、大好きなんで!」
「やめろよ、気持ち悪いなぁー!

 すいません、騒がしくて…。
 ほら、もうさっさと帰るぞ。」


ニノが繋いだ手をさらにぎゅっと握って、
廊下を足早に歩いていく。

耳は相変わらず真っ赤なまま。



ちょっとふざけすぎたかな?
こりゃまた拗ねちゃいそうだなぁ。

そんなことを思っても、そんな悩みすら
幸せで頬がゆるむ。


「何だらしない顔してんだよ!
 帰ろ!」
「はーい。」


一緒に家路につく時はいつもこう。

でもいつまでも初々しいのは
ニノの可愛い反応のお陰だよね。


「さっ、帰ろっか。」



いつかは帰る家も一緒がいい、なんて
言ったら、どんな顔されるかな。

困った顔するのかな。
その逆だったらいいな。


「ニノ大好きーー!」
「うるさい、黙って歩いて!」



-end-

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