and you
第1章 手を繋いで A×N
A side
にやける頬を押さえつつ、
その一際猫背の背中を追いかける。
本当は
「にーのちゃーーーん。」
って大声で名前を呼びそうになったけど、
前にそれをしたら4日も口を聞いてくれなかった
のを思い出して、慌てて口を押さえる。
追い付くのは容易で、
「ニノ。」
声をかけつつ肩をポンポンと叩くと、
「置いてくっつったのに…。」
なんてそっぽ向いてニノは言う。
でもね、知ってるよ。
本当は凄く嬉しがってくれてること。
追いかけないと寂しがること。
1度だけ、ニノの言葉を真に受けて
追いかけずに自分の家に帰ったことがあった。
あのときはニノに怒られたっけ。
「何でバカみたいに信じちゃうの!」
「俺があまのじゃくって知ってるでしょ!」
って。
泣きそうな、怒ってるような顔して。
端から見れば、理不尽なのかもしれない。
でもそのあとに、
「でも…素直になれない俺が一番
バカなんだよね。
相葉さん、ごめんね。
一緒に帰ろって言えばいいだけなのにね。」
って、今にも涙が溢れそうな目で言われたら
誰だって許しちゃうしかない。
あのときの泣き顔は綺麗だった。
(こんなこといったら怒られるけど。)
でももう泣かせたくないから。
だから、俺も真に受けて帰るのはやめた。