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ギムレット

第15章 アンジェロ  好奇心

店を上がってアフターに行くホステスたちがゾロゾロとエレベーターから降りてきた。

5人の男に対して本命を入れて9人の女。

5台のタクシーを止めて1台に3人ずつ後部座席に乗り込む。運よく4人の男1人に対して2人の女。

八代とメグだけ2人で5台目のタクシーに乗り込むことに成功した。


「今日は初めて来店したのに、あいつら若いから元気有り余ってるんで……遅くまで付き合わせちゃってごめんね」


「いいえ、みなさんお若い方ばかりで、お店の子たちも逆に楽しませていただいてます」


八代が優しく話しかけると、メグも笑顔で答えた。こちらを微塵も疑っていない女の表情を見て、八代は少し戸惑うが、この女を拉致らなきゃ、俺らが拉致られる。


尚樹の顔が浮かんだところで身震いしながら、八代はここで一か八かの賭けに出ることにした。


「あっ!ヤバイ……コンタクトが落ちたっ!」


えっ?と驚きタクシーの座席の足元を慌てて見るメグに対して、八代は落ち着いてタクシーの運転手に事務所の住所を伝えてそこに向かうように言う。


「ごめんね。すぐそこが会社の事務所だから、替えのコンタクト取りに寄ってから二次会の店に行ってもいいかな?」


「あっハイ。目が見えないと不安ですものね」


これで大丈夫。あとは事務所のドアの前まで連れて行くだけだ。八代は心の中で大きく安堵していた。



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