ギムレット
第20章 スプリッツァー 真実(シュウ編)
俺が小学6年生の12歳の夏、学校から家に戻ると、祖父が6畳間で倒れていた。
顔は殴られて血まみれで、体を蹴られたのか、横向きでぐったりしてうずくまっていた。
「じいちゃん!!!」
俺の声に祖父は反応して、虫の息の小さな声で俺に向かって叫んでいた。
「れ…蓮…。入っ…て…入ってくるん…じゃな…い…」
祖父の小さな声の叫びを聞いたと同時に、俺は背後から誰かに蹴り上げられて、うずくまった。
そいつは、うずくまっている俺の首元のシャツを引っ張り上げて、さらに平手打ちをした。平手打ちを2~3発くらったあと、生温かいものが口から溢れ出て首元に流れていく。
初めは流れ落ちる液体は唾液だと思っていたが、激しい痛みの後、口の中で舌に感じる錆びた鉄のようなその味が、血だということに俺は気が付いた。