
ギムレット
第20章 スプリッツァー 真実(シュウ編)
祖父はもう動かなかった。男が足でつついても、頬を叩いても、ピクリとも動かなかった。俺は必死で意識がないだけかもしれない。と思いながらも、さっき女が言ったっ言葉が脳裏に浮かんでいた。
「死んだんじゃね」その言葉が…
部屋の中はめちゃくちゃに荒らされ、金目の物がないかどうか二人が必死で探していたが、出てきたのはわずか2万円と小銭だけだった。
「どうすんのよっ!!!こんなはした金じゃ借金返せなくて、私たちどうなんのよっ!!!」
女が男に喚き散らす。「うるせぇ!」掴みかかる女の身体を突き飛ばして男は更にイラついていた。
