
ギムレット
第20章 スプリッツァー 真実(シュウ編)
「このガキ、あんたに似て、顔は結構いいじゃん」
女が俺の血まみれな顔をみながら男に言った。
「まあな、俺の遺伝子だからな。お前タイプだろ」
そう言って男が得意げに笑う。
こいつらの会話で俺は一つだけ分かったことがあった。
この女が、俺の母親ではないということを……
俺にとって、この時はそれだけが救いのような気がした。
「このガキ、やったことあんのかな?」
女が男に言う。
「ねぇだろ。まだ小学生くらいだろうが」男がさらに高笑いして女に言った。
「お前、試してみろよ」
薄ら笑いを浮かべた男が女にそう言った。
