ギムレット
第6章 ベルモント やさしい慰め
シュウは私に知識と教養を与えてくれる。
彼の話して聞かせてくれる、私の知らない世界を知ることが好きだった。
彼の海外出張で体験する話は面白く、私に見たことのない世界を疑似的に体験させてくれる。
コミュニケーション能力の最も大きなファクターである会話。
ホステスにも会話上手なことは大切だが、夜の世界での第一印象から始まる疑似的恋愛は、やはり容姿からくるものが多い。
特に私のように、世の中を、この狭い空間だけに身を置いて生きている人間は、肉欲だけで近づく男に警戒心を抱いてしまう。
でもシュウは、心や距離を縮めるために重要なコミュニケーション能力に長けていて、いつも嫌みのない、決して職業で人を差別しない、人を見下すことをしない。
だからこそ私は、彼に警戒心を抱かなかった。
そして私にとっては数少ない、心の拠り所なのかもしれない。
「異性の対象として見て欲しいなんて……私、シュウがそんな風に思ってるなんて、一度も感じたことなかったわ」
シュウは私の右手をそっと握る。
「俺、けっこう、ガンガン発信してるつもりだったけど……」
口角の上がった唇の優しい笑顔を強調する顔の仮面が一瞬だけ剥がれ、シュウは男の色香を漂わせた。
彼の話して聞かせてくれる、私の知らない世界を知ることが好きだった。
彼の海外出張で体験する話は面白く、私に見たことのない世界を疑似的に体験させてくれる。
コミュニケーション能力の最も大きなファクターである会話。
ホステスにも会話上手なことは大切だが、夜の世界での第一印象から始まる疑似的恋愛は、やはり容姿からくるものが多い。
特に私のように、世の中を、この狭い空間だけに身を置いて生きている人間は、肉欲だけで近づく男に警戒心を抱いてしまう。
でもシュウは、心や距離を縮めるために重要なコミュニケーション能力に長けていて、いつも嫌みのない、決して職業で人を差別しない、人を見下すことをしない。
だからこそ私は、彼に警戒心を抱かなかった。
そして私にとっては数少ない、心の拠り所なのかもしれない。
「異性の対象として見て欲しいなんて……私、シュウがそんな風に思ってるなんて、一度も感じたことなかったわ」
シュウは私の右手をそっと握る。
「俺、けっこう、ガンガン発信してるつもりだったけど……」
口角の上がった唇の優しい笑顔を強調する顔の仮面が一瞬だけ剥がれ、シュウは男の色香を漂わせた。