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ギムレット

第6章 ベルモント やさしい慰め

シュウとの待ち合わせ場所の居酒屋に到着して店の扉を開くと、店内は閑散としていたが、シュウとマスターの馬鹿笑いが聞こえてきた。




「シュウ、おまたせ。マスターお久しぶり。何か楽しそうね」


「やあメグちゃん、久しぶりだな。いやね、このヤローが相変わらずの減らず口でさあ~」


「いや俺がね、外から覗いたら店は閑散としてるし、じじい死んでんじゃないのかと思ってさあ」



シュウの話し方は本当に嫌みがない。そして周りの人を明るくしてくれる。



しばらくすると閑散としていた店のカウンター席が全て埋まってしまった。



「ほら、俺が来たから忙しくなっただろ」


「ほんとにお前は福の神だよ。毎日来て欲しいくらいだ」


「まあ、出張がない時は、じじいの生存確認も含めて、しょうがないから来てやるよ」



店内の客が一斉に笑う。



彼といると本当に心が和む。


「シュウといると、本当に楽しいわ」


彼は手を横に振った後、両手で✖印を作る。


「その話し方、店以外では禁止って言っただろ」


「そうだったね。気を付ける」


私はちょっとおどけた感じに舌をペロッと出して笑った。




「もっと、そういう可愛い顔、俺に見せてよ」


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