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ギムレット

第6章 ベルモント やさしい慰め

何故だろう。今日に限ってシュウの言葉が自分の心に突き刺さる。




その後も、先ほどのゲテモノ食いの話の続きを聞きながら、シュウがスマホに収めた写真を見せてもらって悲鳴をあげたり、楽しい時間を過ごした。



「でも、シュウは凄いね」


「何が?」


「私なんて、この国……ううん、この町からもほとんど出たことがないから。日本人が周りにいない海外なんて、いったいどんな世界なのか想像できない」



シュウは、テーブルに肘を付き、手のひらに頬を斜めにのせて私の方に顔を向けた。



「俺が、見せてやろうか?」



シュウの魅力的な声が、男のフェロモンを漂わせて、私の五感をくすぐる。


私の中で既に出来上がっていた警戒心なく付き合える、兄的存在のシュウの仮面が剥がれ落ちて、彼の発する言葉に心がときめく。



私は今、シュウを男として……初めて、意識し始めた。




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