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ギムレット

第8章 ホワイト・ルシアン 愛しさ

あれからタクとは、時々会っていた。


二人の仕事の関係上、会うのは深夜からなので、彼の部屋で過ごす時間ばかりなのは相変わらずだけれども……



「その後、具合どう?」

「もう、だいぶ良くなってきた。エッグノッグのおかげね」

本当に?そう言って、ちょっと目を細めて、はにかんだように笑う姿が可愛かった。



「なんか飲む?」

「またカクテル作ってくれるの?」

「いいけど……でもここには材料も道具もほとんどないから。たいしたもの作れないよ」



初めてタクの部屋に入った時の印象は、生活感のない部屋だったけど、でもあれ以来、何度か部屋に来て感じるのは、それなりに生活はしているけど、彼自身が潔癖症とまではいかないけど、常に整理整頓されている部屋を見ると几帳面な性格なのかもしれない。



キッチンで手際よく作業する姿を見ると、几帳面さが垣間見える。


カクテルメジャーを使用している時の指の挟み方が綺麗で無駄がない。


お酒やリキュールのボトルを掴む手つきが重さを感じさせずに柔らかい。



その動作一つ一つに惹きつけられる。



──ずっと見ていたい



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